30歳独身男性トレーナーのタダマン体験談

スポーツクラブのトレーナーをしていると、様々な人のトレーニングに関わることが仕事になる。
スポーツクラブに通ってくる人は男性が多いが、思ったより女性もいるのだ。
とある女性会員のトレーニングを担当しているとき、ふと、その女性会員に食事に誘われたのだ。
その人は身なりもよく、いいところの奥様といった感じの人。
ジムのルールで会員と必要以上に仲良くなることはできないんです、と体よくあしらった。
食事くらいいいのではないかと思うのだが、後々面倒になるのも嫌なので、それならば最初から何もない方が楽なのだ。
仕事を終え、いつも飲みいく割烹へ顔を出すと、
「あら、トレーナー」
と声を掛けられた。
食事に誘われた女性会員がカウンターで1人飲んでいた。
奇遇ねえ、と言っていたがあれは完全に確信犯だ。
どうやってかは知らないがおれの行きつけを見つけたのだろう。
ここで無視をするのはおかしいので、仕方なく同席することにした。
お酒も進むと女性はしきりに「タダマン」という言葉を使うようになった。
例えば「タダマンしたいと思わないの?」とか「タダマンでいいわよ」とか。
これまであまり遊んだりしたことのないおれには本気で無料の肉まんか何かだと思っていたのだ。
あまりにしつこく言うので、
「じゃあ、タダマンくださいよ」
と言ってしまった。
すると、女性はぱっと表情を変え、
「じゃあうちにいらっしゃい」
と言って、家に連れて帰られた。
ことが済んだ後でタダマンの意味を知ったのだが、結局仕事場に発覚しクビになり、タダどころかかなり高い買い物をしてしまったように思う。